マルレインに連れられて、ルカは月夜に白く浮かび上がる浜辺を横切っていく。川にかかった木製の木の橋を通過し、間もなくサーカスのテント村にやってきた。
 道中は意外にも、それほど目立ったオバケが出現することもなかった。少し戦ったといえば、橋の上でばったり出会った気の荒いヤギくらいでさほど苦戦することはなく、剣ですぐに煙に戻してやった。
 サーカスのテントが複数建てられた広場は、陽気な外見のテントに対して人気が全く無い。
 きっと団員たちはテント内で眠っているのだろう。

 

 「こっちじゃ。」

 

 マルレインはそれらに気を止めることなく、夕刻のときと同じようにルカの手を引いて、サーカスのテントの脇を横切った。どうやらただの散歩ではなく、ちゃんと行くあてがあったらしい。
 テントの後ろにまわり、奥へ向かう。奥は小高い丘になっていて、星と月の明かりに照らされて薄明るくなっていた。
 手を引かれて先端まで来ると、広い湖が一望できた。ここは丘というより、岬のようだ。
 岬の最先端は何故かくるりん、と渦巻きを形作っている。遠くから見てもわかるこのくるりん岬の不可思議な風貌は、様々な人間の心をとらえた。まるでこの美しく奇妙な、そして驚異に満ち溢れた世界を象徴しているかのような、どこか心惹かれる、懐かしさがある風景。 

 その岬の先端の端に、マルレインは腰掛けた。
 どうしたものかとルカが黙って立ち尽くしていると、マルレインは自分の隣のスペースを手でぽんと叩いた。座れ、というジェスチャーらしい。
 ルカは静かにマルレインの隣に腰掛けた。
 2人の背後を、月明かりによる薄い影がぼんやりと現れていた。ふたつの影の片方には、大魔王の魂が宿っている。
 暫し、2人は湖とその湖面に建てられているリシェロの家々を眺めていた。
 そしてふと、顔を上げて空を見る。
 目の前にあるのは、夜の世界を見守るこの世界のひどく大きな月。そして四方に広がるのは、月光に紛れてなおも無数に瞬く、満天の星。ひとつの巨大な宝石箱のように輝くこの情緒的な宇宙は、この小高い岬の先にやってこなければ、きっと見ることができなかっただろう。

 

 「・・・・キレイじゃな。」

 

 ぽつり、とマルレインが言葉を零した。
 それは心から思っているようで、呼吸のように自然に発した言葉だった。

 

 「・・・・そうだね・・・・」

 「わらわは今まで、真面目に空を見上げたことはなかった。このような気持ちは初めてじゃ。」

 

 ルカはマルレインの横顔を見た。彼女は純朴な笑みを浮かべ、目をキラキラと輝かせている。その輝きは、星々が瞳に映ったせいか。
 少し照れくさくなり、ルカは再び空を仰ぐ。

 

 「・・・・ここには来てみたかった。前から気になっていたのじゃ、このくるんとした形が。」

 「・・・実は、ボクも。」

 

 マルレインの言葉に、ルカは正直に同意した。
 一瞬の間をおいて、マルレインは吹き出すように笑う。

 

 「・・・・くっ、ふふふふっ、あはははははっ!お前もか!?そうじゃろうそうじゃろう!お前もそう思ってたじゃろう!」

 「・・・・・・・・ぷっ、ぷぷ。ふ・・・・あははっ。」

 

 2人は暫し笑った。マルレインはさもおかしそうに、手で口もとを押さえてころころと笑った。ルカも控えめに笑う。

 

 そして、ふと笑うのを忘れる。
 ひととき、静まり返る世界。湖の穏やかな波の音だけが辺りに響き渡る。
 ルカもぴたりと笑い声を止めて、不意に笑うのをやめたマルレインに疑問を抱き、緑の瞳をマルレインに向けた。
 マルレインは、先ほどとは違いどこか憂いを帯びた表情で湖を眺めている。そしてそのままルカに、言葉を紡いだ。

 

 「・・・・ルカ。わらわは忘れぬ。」

 「え?」

 「例えお前が世界から忘れられたとしても、わらわは決してお前を忘れぬ。」

 

 ルカはその言葉の意味がわからず、暫し沈黙した。その後一瞬、ルカの目が見開かれる。
 マルレインは続けて言葉を発した。

 

 「もう一度言うぞ。わらわは忘れぬ。
 もしお前が消えていなくなったならば、わらわはきっとお前を見つけ出そう。お前の声が誰にも届かなくとも、わらわはきっとお前の声を聞こう。例え離れ離れになったとしても、わらわはきっとお前と再会しよう。」

 

 唄を歌うように、詩を紡ぐように、王女は言った。
 それはルカに言っているようで、自分自身に言い聞かせているようにも聞こえた。
 その一時の別れが、いつか来ることのないことを願って。ルカの存在を、自分が守っていこう。
 これは自分自身の幸せを守ることにも繋がるのだ。
 一時目を瞑った後、マルレインはルカを見やった。

 

 「ルカ。実はというと、わらわはこの旅をしている時間が幸せなのじゃ。だから、もし失ったら必ずまた手元に戻してやろうぞ。それに、お前はわらわの召使い。召使いはわらわのものだから、永遠に切っても切れぬ関係なのじゃ。」

 「え・・・・」

 「・・・・お前は、わらわを守り、楽しませるためだけに存在してくれれば、それでよいのだ。何も気にする必要なぞ無い。」

 

 ふん、と鼻を鳴らしてマルレインはルカに言った。
 ルカは、これをどう受け止めるべきか迷った。とりあえずその言葉の意味のままを受け取ってみる。少しだけ、嬉しくもなり悲しくもなり虚しくもなった。なんとも言えない複雑な気分だ。
 けれど。マルレインは、夕方に言ったルカの言葉を真面目に聞き、しかも覚えていてくれたのだ。そして、ルカの存在する理由を彼女なりに考えていてくれたのだ。
 それを意味するマルレインの言葉に、ルカは胸の奥が少し晴れ晴れとした気分になった。

 

 「・・・・ありがとう。」

 「礼を述べられるほどのものではない!これはごく自然に当たり前のことなのじゃからな。」

 「・・・・うん。だよね・・・・・・・・、・・・・そうだよね。」

 

 マルレインは、自身の小指をルカに差し出した。一瞬ルカは理解しかねる。

 

 「約束じゃ。もしもお前が誰からも忘れられてしまっても、わらわだけは絶対に忘れぬということを。だから、お前もわらわを忘れるでないぞ。忘れたとしても思い出すのじゃ。そして、わらわを見つけておくれ。お互いの存在が消えてしまわぬように・・・・」

 

 少し、含みのある言い方だった。その言葉にどんな意味があるのかは、ルカにはわからなかった。

 そして少し戸惑いながらも、差し出された小指に自分の指を絡めた。
 ゆびきりげんまん。
 まるで小さな子供に帰ったかのような、素朴なおまじない。
 そんな中、王女様でもこれを知ってるんだな・・・・とルカは場違いなことを考えていた。

 

 「ゆーびきりげんまんっ、嘘ついたら平手打ち10回かます!」

 「ひ、ひらてうち・・・・」

 「どうじゃ?現実的で実行しやすい罰じゃろう?」

 

 彼女の平手打ちには、ウィルクの森のオバケを一撃死させる威力が確実にある。一度それを味わった記憶のあるルカは、少し身を震わせる。そして無意識に、この約束を破らないことを誓った。
 そして、2人はまた湖を眺めた。
 月と星が水面に映り、湖全体が宝石箱のように煌いている。それはルカの胸の内を表しているかのようだった。


 マルレインは突然思い出したように―――一体いつどこから取り出したのか―――手に持っている古いオルゴールの蓋を開けた。
 オルゴール独特の、清らかな澄んだ音色。どこか懐かしく、どこか孤独なメロディーが小箱から鳴り響く。
 ルカが少し驚いてオルゴールを見た。
 この古いオルゴールは、ルカ自身がマルレインに贈ったものだ。また、好きな少女にプレゼントするためにほぼ母から強制的に持たされ、贈らされたものでもあった。しかし、マルレインはこのオルゴールを結構気に入っているようだ。彼女のオルゴールを大事そうに扱う手が、それを物語っている。


 暫し、その音に耳を傾ける。
 その音色は、誰かの祈りの唄のようにも聴こえた。

 

 

 

 しかし。
 その音は突然、何者かの声にかき消された。

 その声に2人ははっと息を止め、聞こえた方向に目を向ける。そして、ぎょっとした。

 

 「わ・・・・っ!」

 「・・・・オバケか?」

 「ん?なんの騒ぎだ。」

 

 スタンもひゅっという音とともに現れた。二人は慌てて腰を上げる。
 3人の見た方向―――サーカスのテント方面―――には、ネズミの姿をしたオバケたち。しかも群れを成して、岬の先に詰め寄ろうとしていた。ちゅう、という糸のようなか細いネズミの声が、あちこちから響いている。声だけ聞けば可愛いものだが、彼らの目は獲物を狙うかのような鋭く恐ろしい目をしている。

 

 「・・・・まさか、こんな夜だからってこんなにたくさん出るとは思わなんだ。」

 「・・・・・・・・どうしよ・・・・。」

 

 今まで、その分類名のとおり物陰にひそんでいたのだろうか?
 さすがのマルレインも少し動揺している。なぜなら、今いる仲間はルカだけだ。ルカもオバケの群れと戦うのは気が引けた。しかしこんな夜中に村の外に出るという時点で、すでにこのような事態になるのは想定内だった気がするが。

 

 「やはりバカだなキサマら。こんな丘の上でしかも後ろは崖。確実に追いつめられるぞ、しかも現在進行形で。」

 「ふむ。崖っぷちの状況とは正にこのことか。」

 「・・・・・・・・少しは慌てようよ・・・・」

 

 結局戦うのはルカ一人なのだ。非戦闘隊員コンビには、こちらの苦労も少しはわかってほしいものなのだが。
 夜中に叩き起こされた少年の不幸はまだ終わらないらしい。

 

 「・・・・とにかく、戦うしかないぞ子分。ちなみに逃げ場は無いからな。」

 「さあ頑張ってくるがよい、召使いたちよ。わらわはここで待っておる。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

 ルカは軽く頭痛がした。絶望感、とはこのことだろうか。
 とにかくまずはオーバードライブで自身の能力を引き上げ、バーストで一掃する作戦を試みることにした。
 しかし最悪なことに、剣を構えようとしたところで敵に先手を取られてしまった。

 

 『―――ドクラ

 「っ!!」

 

 その瞬間、一気に体が重くなる。ついでに、絶望感による軽い頭痛が本格的に辛い頭痛に変わった。魔法による毒攻撃を食らったのだ。襲い掛かる頭痛と吐き気に、ルカは思わずふらりと眩暈がした。倒れる寸のところで、剣で体を支える。

 

 「・・・・ぐっ・・・・・・・・うぅ・・・・いった・・・・!」

 「何をしておる子分!こんなときに限って毒を食らうとは情けない!」

 「・・・・って・・・・言っても・・・・・・・・うぐ」

 「すまぬ、ルカ。残念だが浄化の石は無いのじゃ。宿に置いてきてしまったからな。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 後方で控えている王女マルレインの無慈悲な台詞に、そろそろルカも泣きたくなってきた。外に出るならせめて、彼女には前もって戦闘の準備をしておいてほしかったものだ。
 その様子を見かねたスタンが巨大化して、スマッシュ魔王(という名のただの体当たり)をネズミたちに繰り出した。おかげで何体か倒したようだが、まだネズミはたくさんいる。
 ぐらぐらと揺れるルカの視界に、チャンスと言わんばかりに飛び掛ってくるネズミたちの姿が見えた。ルカは剣を構えつつぎゅっと目を瞑り、これからくるだろう衝撃と痛みに備える。

 ―――しかし、何故かいつまでたってもその予想していた攻撃が来ることは無かった。

 

 「―――ブルー!

 

 誰かの声と、何かを切り刻むかのような音がする。そして、きぃぃ、という悲鳴がたくさん聞こえてきた。
 ルカは恐る恐る目を開けた。見ると、煙となって消えていくネズミたちの群れがあった。その煙の向こう側には、誰か見覚えのある男が立っている。
 太った図体と派手な模様の衣服、小さめの頭に乗せたシルクハット。極めつけは鼻元にあるヒゲ。

 

 「ようボウズ。生きてるかー?」

 「あ・・・・サーカスの・・・・。・・・・こんばんは・・・・」

 

 いつかルカに魔王マップをくれた、目の前のサーカステントの主であるサーカス団の団長ブロックだった。
 彼の魔力―――その姿からはとても想像できないが―――で、ネズミを全て一掃してくれたようだ。意外な第三者の登場に、ルカは驚きつつもどこか安心した。どうやら間一髪のところで助けてくれたらしい。
 ちなみに、背後のスタンとマルレインは彼が誰だかわかっていない。スタンに至っては、その男が魔王マップをくれた人物だということさえ忘れているようだ。

 

 「なんか人の声がしたからよう、外に出てみりゃおめーさんがオバケに襲われているときたもんだ。全く、何がしたくてこんな夜中に出歩いているんだか・・・・ほれ、大丈夫か?浄化の石だ。」

 

 言いながらブロックは、懐から親指くらいの大きさの綺麗な小石―――浄化の石を取り出し、ルカに手渡した。受け取ると、ひんやりと冷たく滑らかな手触りと小さな重みを手に感じる。
 ルカが目を瞑って軽く念じると、石は仄かに輝いた。冬の山の空気のような清らかな風が体中を駆け巡った感じがして、ルカを苦しめていた頭の痛みや吐き気が、瞬く間に消える。体内から毒を抜いたのだ。そして石は役割を終えたように、強く輝いて白い煙とともに跡形も無く消えてしまった。

 

 「あ、ありがとうございます・・・・助けてくれて・・・・」

 「いいってことよ、一日一善がオレのモットーだ。いつも団員に置いてかれているからな・・・・自分一人で戦う術ぐらい、身についてるのさ。」

 「なんじゃお前は?ルカの知り合いか?」

 「ああ。こいつの同類みたいなものだ。類は友を呼ぶってな。」

 「「?」」

 「あー・・・・まあ、こっちの個人的な考えだ。」

 

 ブロックは頭をポリポリと掻き、マルレインを一瞥した。初めて会ったはずなのに、ブロックはさほど驚くこともなく―――それどころか、どこかマルレインのことを知っているかのような―――何故か謎めいた表情を一瞬した。しかし、それはすぐに消える。

 

 「おめーは・・・・そうかー。
ボウズ、なかなかやるな!ガールフレンドができるとは、おめーにもついに春がきたか。青いねぇ。」

 「え・・・・!ちょ、ち、違います・・・・」

 「この者はわらわの召使いじゃ。決してそのような関係ではない。」

 「おお、気の強いお嬢さんだなぁ。」

 

 マルレインの言葉には、「自分は王女だ」という意味が含まれていたのに、ブロックは何故か気にしている様子はない。ルカの不幸っぷりには気づいているようだが。
 そして相変わらずブロックのことを忘れているスタンは、訝しげに彼をまじまじと見ていた。

 

 「ところでキサマは何者だ?どこかで見覚えがあるような気がするが。」

 「ずいぶんなことを言うなぁ、影の大将も。このオレ様を忘れちまったのかい?まあ、オレの影の薄さじゃ当たり前か。」

 「・・・・。・・・・!あ、あーっキサマは!いつかのサーカス男っ!!」

 「ははは、やっと思い出してくれたか。じゃ、そういうことで。オレは寝るからな。」

 「あ、おやすみなさい。」

 

 彼の言葉にルカは、今の時間が真夜中だということを思い出した。マルレインとの会話や先ほどのピンチですっかり忘れてしまっていたようだ。そしてそんな夜中にわざわざ起きて自分たちを助けてくれたブロックに、改めて感謝する。
 ブロックは3人に背を向け、あくびをしながらサーカスのテント内に戻ろうとした。
 そこでふと、なにか思い出したように立ち止まり、ルカに背を向けたまま言った。

 

 「ボウズ。旅をするのもいいが、たまにはこっちのテントに顔を出せよ。オレが言いたいことは、そのときに話してやる。」

 「・・・・?」

 「さっきおめーさんとそこのお嬢さんが話していたこと―――『ナゾの現象』についてだ。」

 

 彼はそのまま、静かにテント内に戻っていった。
 その言葉の意味にルカは首をかしげ、口元に手をやり少し考える。
 その背後ではスタンも、彼の行動について怪訝そうにマルレインと話している。

 

 「あの男、会話を盗み聞きしていたのか。ふん、ずいぶんと失礼な男だ。余は最初から怪しいと思ってたのだ。」

 「それはお前にも言えるじゃろう、スタン。わらわとルカの話を聞いていたのではないか?」

 「そりゃお前、余が休んでいるそばでそんなことを話されれば、聞きたくなくとも聞かざるを得ないだろう。」

 

 言われてみれば確かにそうだ。ルカとスタンは離れたくても決して離れることができないのだから。

 

 「・・・・まあ、それで会話の邪魔をしなかったのは、褒めてつかわそう。」

 「うがぁぁ!!なんだそのしつけされた犬のような扱いはっ!余を大魔王だと知っての愚行か!?」

 「何の話じゃ?お前はわらわの下僕じゃろう?」

 「・・・・だから違うって。」

 

 スタンはもう諦めたように身を縮めた。マルレインの考えには勝てないことを悟ったらしい。マルレインはスタンで遊んでいるようだった。
 マルレインは勝ち誇ったように笑い、ルカに言葉をかける。

 

 「ルカ、行くぞ。さすがに夜もおそい。さあ、村に戻って寝ることにしようぞ。」

 「あ・・・・はい。」

 「・・・・ありがとう。こんな夜にわたしにつきあってくれて。」

 

 その言葉を軽く受け流そうとしたが、何かの違和感に気付き、驚いてルカは顔を勢いよく上げた。しかしすでに、マルレインは岬を駆け下りていた。

 ・・・・気のせいだったのだろうか。
 今の言葉はまるで、マルレイン―――彼女の中の本当の素顔が現れたように、純粋な言葉だった。
 それを確かめる術など無いのだが。
 ぼけっと走っていったマルレインを眺めるルカに、スタンはこつんと彼の頭を小突いた。

 

 「明日起きれなくなるぞ。早く追いかけろ子分、小娘がオバケと遭遇したらもっと面倒なことになるからな。」

 「・・・・うん。」

 

 ルカもマルレインを追い、急いで岬を駆け下りた。
 月はもう傾き始めている。
 星たちが、歩いていく2人を優しく照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 マルレインと話した「一時の別れ」が、ブロックの言った「ナゾの現象」が、まさか本当に現実になるとはこの時はまだ思いもしていなかった。

 

 そして、この旅の幸せが長くは続かないということも。













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